2026/07/03投稿者:広報担当

その指示、実は法令違反?夏の繁忙期に企業が陥りやすい「派遣のグレーゾーン」

7月に入り、いよいよ夏本番ですね。

お中元シーズンや夏休み前の駆け込み、さらには突発的な人員不足などで、現場が1年で最もバタバタする時期という企業様も多いのではないでしょうか。

 

そんな忙しい時期だからこそ、現場の「ついうっかり」で発生しやすいのが派遣法まわりのコンプライアンス違反です。最近、当ブログでも派遣社員への不適切な指示や業務範囲に関する記事へのアクセスが急増しています。

 

今回は、夏の繁忙期に特に注意したい「やってしまいがちなNG指示」を、実例を交えて分かりやすく整理しました。

 

 

1.忙しいからと「契約外の業務」を頼んでいませんか?

「ちょっと人手が足りないから、隣の部署の出荷作業も手伝って!」

「急ぎの荷物だから、会社の車で取引先まで届けてきて」

——現場がパニックになっていると、つい良かれと思って口にしてしまいがちな指示ですよね。

 

しかし、これは立派な契約違反(場合によっては法令違反)になるリスクがあります。

 

業務範囲の厳守

派遣スタッフが従事できるのは、事前に「労働者派遣契約書」に記載された業務内容のみです。

 

事前の契約変更が必要

もしどうしても別業務を依頼したい場合は、現場の判断で勝手にやらせるのではなく、必ず事前に派遣会社にご相談いただき、契約内容の変更手続きを行う必要があります。

 

▼知らずに指示を出すと大変なことに!改めて確認しておきたい基本ルールはこちら。

関連記事:派遣社員にさせてはいけない6つの業務としてはいけない指示

 

 

 

2.「急な残業」や「休日出勤」を直接命令するリスク

お盆休み前の納期に間に合わせるため、「今日、2時間残業お願いね!」と現場のリーダーが派遣スタッフに直接、義務として命じるのはNGです。

派遣スタッフの労働時間を管理・命令する権限(指揮命令権)は派遣先にありますが、残業を命じるための法的な土台は少し複雑です。

 

チェックポイント 必要な手続きとルール
36(サブロク)協定 派遣スタッフに義務として残業をさせるには、派遣元(弊社)の36協定が適用されます。
派遣契約の確認 そもそも「労働者派遣契約」の中で、時間外労働(残業)の規定が交わされている必要があります。
事前の相談 契約の範囲内であっても、スタッフ本人のプライベートや体調への配慮、事前の合意がスムーズな運用のカギです。

現場の独断で「派遣だから残業して当然」という空気を作ってしまうと、スタッフの離職に直結するだけでなく、重大なコンプライアンス違反となるため注意が必要です。

 

 

3.「面接」や「履歴書の提出」を求めていませんか?

夏に向けて新しい派遣スタッフを迎え入れる際、「どんな人か事前に確認したいから、一度面接をさせてほしい」「履歴書を事前に送って」と求めてしまうケースが後を絶ちません。

 

これは派遣法で厳しく禁止されている「特定行為(事前面接や選考)」に該当します。

 

なぜ禁止されているのか

派遣スタッフを「誰にするか」を選ぶ権利は、雇用主である派遣会社(派遣元)にあります。派遣先企業が選考を行ってしまうと、正社員の採用と同じ扱いになり、派遣法の趣旨から外れてしまうためです。

 

正しい対応は「職場見学」

業務内容のすり合わせや、職場の雰囲気を事前に見てもらうための「職場見学(事前面談)」は可能ですが、そこでの質問内容にも法律上の制限があります。

 

関連記事:派遣の特定行為とは?禁止の背景や注意点を分かりやすく解説

 

 

 

4.万が一のトラブルに備える「苦情申出先担当者」の役割

現場が忙しくなると、スタッフにかかるプレッシャーや人間関係の摩擦から、小さな不満や苦情が発生しやすくなります。そんな時に機能しなければいけないのが、契約時に定めた「派遣先苦情申出先担当者」です。

 

苦情を放置するリスク

「これくらい忙しいから我慢してよ」と現場で握りつぶしてしまうと、スタッフの突然の退職や、労働局からの指導が入る大きなトラブルに発展しかねません。

 

担当者の役割

苦情の窓口として迅速に話を聴き、私たち派遣会社と連携して、事実確認や職場環境の改善へと動く重要なキーパーソンです。

 

忙しい夏だからこそ、誰がその窓口になっているのか、現場の指揮命令者としっかり情報を共有しておくことがリスクマネジメントに繋がります。

 

関連記事:派遣先苦情申出先担当者とは?役割を解説!

 

 

5.まとめ:コンプライアンスの徹底が、夏の「人材確保」を制する

現場が最も忙しい夏を乗り切るためには、派遣スタッフの力が必要不可欠です。しかし、「忙しいから」という理由で法律や契約のルールを後回しにしてしまうと、最終的にスタッフが離職し、自社の首を絞める結果になってしまいます。

 

適切なルールのもとで気持ちよく働ける環境を整えることこそが、結果として現場の生産性を高め、優秀な人材の長期定着を叶える一番の近道です。運用のルールで少しでも迷うことがあれば、いつでもお気軽に私たち派遣元へご相談くださいね。