2025/11/19投稿者:広報担当

派遣社員のための年末調整と確定申告ガイド

年末が近づくと気になるのが年末調整確定申告の手続きです。

正社員とは働き方が異なる派遣社員の皆さんにとって、「一体どこで、何をすればいいの?」と疑問に感じることも多いでしょう。

この手続きを正しく理解し、行うことで、毎月の給与から払いすぎていた税金(所得税)が戻ってくることがあります。このガイドで、派遣社員が知っておくべき税金の手続きを分かりやすく解説します。

 

 

1.派遣社員の「年末調整」は誰が行う?

年末調整とは、毎月の給与から源泉徴収された所得税の過不足を調整する手続きのことです。

基本的に年末調整は「派遣元会社」が行います。原則として、年末調整を行うのは、その年の最後に給与を支払う会社(あなたの場合は派遣元会社)です。

 

年末調整の流れ

(1)11月〜12月頃になると、派遣会社から「扶養控除等(異動)申告書」や「保険料控除申告書」などの書類が渡されます。

(2)あなたはその書類に必要事項を記入し、生命保険や地震保険などの控除証明書を添えて、期日までに派遣会社に提出します。

(3)派遣会社が計算を行い、多く払いすぎていた税金(還付金)があれば、12月または翌年1月の給与と一緒に戻ってきます。

 

注意:年の途中で派遣会社が変わった場合

年間の途中で派遣会社が変わった場合(転職や契約終了など)は、年末時点で雇用契約がある最後の派遣会社に年末調整の書類を提出します。

その際、以前の派遣会社から発行された*「源泉徴収票」*を新しい派遣会社に提出する必要があります。これで、一年間の給与を合算して年末調整が行われます。

 

 

 

2.年末調整で戻ってくるお金(控除の種類)

手続きを行うことで、あなたの税金が安くなる(または還付される)主な控除について知っておきましょう。これらの控除を受けるためには、証明書を派遣会社に提出する必要があります。

控除の種類 概要 提出する証明書など
生命保険料控除 生命保険や介護医療保険、個人年金保険などに支払った保険料 保険会社発行の控除証明書
地震保険料控除 火災保険に付帯する地震保険の保険料 保険会社発行の控除証明書
社会保険料控除 ご自身で支払った国民年金保険料や国民健康保険料など 国民年金は控除証明書、その他は支払いを証明できるもの
配偶者・扶養控除 養っている家族(配偶者や子ども、親など)がいる場合 扶養控除等(異動)申告書に記入

 

 

3.派遣社員と「確定申告」が必要・有利になるケース

年末調整だけで完了せず、ご自身で確定申告が必要になったり、確定申告をすることで税金が還付されて有利になるケースがあります。

 

確定申告が必要になる主なケース

(1)年の途中で退職し、年末までに再就職しなかった:退職した会社で年末調整が行われず、所得税の精算が済んでいない場合。

(2)給与所得以外の所得がある場合:副業やフリーランスとしての収入があり、その所得(利益)が年間20万円を超える場合。

(3)年収が2,000万円を超えている:給与所得者であっても、年収が2,000万円を超える場合。

 

確定申告をすると有利になる(税金が戻る)ケース

年末調整では対応できない控除を利用したい場合は、確定申告が必要です。

・医療費控除:1年間で支払った医療費の合計が一定額を超える場合。

寄附金控除:ふるさと納税(ワンストップ特例を利用しない場合)や特定の団体へ寄附をした場合。

 

 

 

4.副業をしている場合の年末調整・確定申告

派遣社員として働きながら副業(ダブルワーク)の収入がある方は、以下の点に特に注意が必要です。

 

(1)年末調整は派遣元のみ

派遣会社の年末調整では、副業で得た収入(雑所得、事業所得など)は計算に含まれません。

 

(2)副業の所得が20万円超は申告必須

副業で得た収入から経費を引いた利益(所得)が年間20万円を超える場合は、必ずご自身で確定申告を行い、派遣会社からの給与と合算して税金を精算する必要があります。

 

(3)20万円以下でも申告がおすすめ

副業所得が20万円以下で申告義務がない場合でも、確定申告をすることで源泉徴収された税金が戻ってくることがあるため、申告を検討するのがおすすめです。

 

 

5.まとめ:スムーズな手続きのための準備

手続きをスムーズに進めるために、日頃から以下の点を準備しておきましょう。

 

(1)書類は必ず保管する:保険会社などから届く控除証明書や、以前の派遣会社から発行された源泉徴収票は、失くさずに一箇所にまとめて保管しておきましょう。

(2)副業の経費を記録する:副業をしている方は、売上だけでなく、仕事に必要な経費(教材費、通信費など)の領収書や記録をしっかりと残しておきましょう。

 

年末調整は税金を精算するための重要な手続きです。派遣元会社からの案内に従って、期限内に正確に書類を提出し、税金面で損をしないようにしましょう!