2025/12/19
スキルはしっかり見極める!派遣社員とのミスマッチを防ぐ面接のコツと注意点
「派遣社員の面接」といっても、実際は正社員の中途採用面接と同じように進めて良いのか、疑問に思っていませんか?
派遣社員の採用選考には、労働者派遣法という特別な法律が適用されます。この法律を理解せずに選考を行うと、知らず知らずのうちに法令違反となってしまうリスクがあります。
派遣先の企業担当者として知っておくべき面接の基本ルール、特に注意すべきNG行為と、スキルを正しく見極めるコツをわかりやすく解説します。
1.派遣先企業は「面接」をしてはいけない
派遣社員の選考において、まず企業担当者が理解すべき最も重要なルールです。
なぜ「面接」をしてはいけないのか?
労働者派遣法により、派遣先の企業は、派遣社員を特定することを目的とした「面接」や「事前面接」を実施することが禁止されています。
派遣社員の雇用主は派遣会社であり、派遣先企業ではないためです。派遣先が面接を行い、採用・不採用を決めると、実質的に派遣先企業が採用権を持つことになり、労働者派遣法に違反します。
正しい実施方法:「顔合わせ」または「職場見学」
| 名称 | 目的と内容 | 企業担当者の役割 |
| 職場見学 | 業務内容や職場の雰囲気の説明、実際の業務場所の確認。 | 職場環境の説明がメイン。質問は業務内容の確認に限定。 |
| 顔合わせ | 派遣スタッフのスキルや経験を派遣先企業に紹介する場。 | 派遣会社の担当者が主体となって進める。 |
顔合わせは、あくまで派遣会社が派遣スタッフを紹介し、双方が業務遂行能力や就業環境を確認する場であり、選考の場ではないことを強く認識してください。

2.法令違反となる!面接(顔合わせ)での「NG質問」集
面接(顔合わせ)の場で、派遣スタッフの就業意欲やスキルとは関係のない情報を聞き出すことは、差別につながる行為として法律で禁止されています。
❌ 絶対に聞いてはいけない質問のカテゴリ
・個人の思想・信条・政治に関する質問
・労働組合に関する質問
・家族構成・生活環境に関する質問
・プライベート・結婚・出産に関する質問
具体的なNG質問例
【結婚や出産に関する質問】
「結婚の予定はありますか?」「お子さんがいますが、急な病気の際はどうされますか?」
⇒ 性別を理由とする差別や、仕事とは無関係なプライベートな領域への踏み込みにあたります。
【家族構成・住居に関する質問】
「ご主人の仕事は何ですか?」「実家暮らしですか?」
⇒ 職務能力とは一切関係なく、プライバシーの侵害にあたります。
【思想・信条に関する質問】
「支持政党はどこですか?」「宗教を信仰していますか?」
⇒ 職業選択の自由を侵す恐れがあるため、固く禁じられています。
【過去の病歴に関する質問】(業務に直接関係のない限り)
「最近、体調を崩されたことはありますか?」
⇒ 健康状態は機微な情報であり、配慮が必要です。
3.ミスマッチを防ぐ!スキルを正しく見極めるコツ
NG質問を避けつつ、本当に必要なスキルや人物像を見極めるためには、質問の仕方や焦点を工夫する必要があります。
焦点を当てるべきポイント
★「できること」の確認に徹する
派遣スタッフの過去の業務経験、特に担当してもらいたい業務と関連性の高いスキルに焦点を当てて具体的に質問しましょう。
例「以前の職場で〇〇というソフトを使った経験はどの程度ありますか?」
★業務への意欲と向き合い方
派遣スタッフの業務に対する考え方や、ストレスへの対処法、チームでの働き方などを確認します。
例「チームで働く際、どのような役割を担うことが多いですか?」
★派遣先企業からの説明を充実させる
企業側から、業務の具体的な内容、繁忙期、職場のルールなどを具体的に、かつ正確に伝えましょう。これにより、派遣スタッフ自身がミスマッチを防ぐ判断材料を得られます。

4.まとめ:法令遵守と相互理解で良い関係を築く
派遣社員の選考は、正社員採用とは異なるルールに基づいています。
派遣先企業として最も大切なのは、派遣法を遵守し、派遣スタッフの人柄や能力以外の情報で選別しないことです。そして、顔合わせという機会を、スキル確認と業務説明に最大限に活用し、相互理解を深める場とすることで、ミスマッチのないスムーズな受け入れを実現しましょう。
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